Top > ヴァインスベルク城


古くはローマ街道が通っていた2世紀頃からブドウ園や公衆浴場があった小さな町にある、南ドイツの城である。ヴァイバートロイ城とも。
始まりは1000年頃、街道沿いの防御強化のためライヒスブルク(帝国の城)として築かれアーデルハイト伯爵に管理させた。
1116年、皇帝の摂政を務めていたフリードリヒ2世が、ローマ遠征を行っていた皇帝に代わってドイツの抑えとして城を支配下に治めた。
1125年、フリードリヒ2世とロタール3世との間でローマ王の選挙が行われロタール3世が選ばれると、1127年反抗したフリードリヒ2世は戦いを起こしたが、
1133年ロタール3世の娘婿ヴェルフェン家のハインリヒ10世が獲得した。

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1140年、フリードリヒ2世の弟コンラート3世とハインリヒ10世の残党との間で戦いが起こった。
コンラート3世とハインリヒ10世は神聖ローマ皇帝位を争ったが、1139年にハインリヒ10世が急死すると彼の死に疑問を持った残党が反旗を翻したのである。
皇帝は城を包囲している時、「女性たちは背負えるだけの荷物を持って退城して構わない」という命を出した。
これは夫が戦死し城も荒らされるため、寡婦になる予定の妻に財産を多く遺そうとするためのものである。
あわよくば財産を沢山持った寡婦になった女性と、皇帝側の兵士とを結婚させようとしたものであった。
ところが、女性たちはなんと夫や兵士を背負って退城したのである。しかも1人だけでなく数人も背負って。これを見たコンラート3世は笑いながら観ていたと云われる。
この故事にちなみ、ヴァイバートロイ(妻たちの貞節)城と呼ばれるようになった。
なお、これとほぼ同じことが300年後[[クリープシュタイン城]]で行われている。

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残党の降伏後、コンラート3世は直轄城として大臣に城を統治させ城下町も形成し帝国都市とした。
しかし1440年、皇帝になったばかりのフリードリヒ3世は資金難のためプファルツ選帝侯のフリードリヒ1世に城を売却した。
この時、帝国都市の地位を失うのを拒んだ市は抵抗し籠城したが、一説によるとワイン樽に兵を詰め込み街に運び込ませ
真夜中にその樽から出て来て門を開け市を占領したという、[[トロイの木馬>城塞都市トロイ]]と似たような話しがある。恐らく、別名のヴァイバートロイから作られた創作と思われる。

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1503年、フリードリヒ1世の又甥ループレヒトとアルブレヒト4世バイエルン=ミュンヘン公の間でランツフート継承戦争が勃発した。
これは、バイエルン=ランツフート公のゲオルグが男子を残さず死去したが、本来は一族であるアルブレヒト4世が継ぐはずであったが、
ゲオルグの娘婿のループレヒトに継がせようとしたため起こった家督争いであった。これに長年の対立が加わり大きな内乱となった。
翌年、ヴァインスベルクも巻き込まれ、大砲等で攻撃され城壁や主郭に多大な損傷を受け、3週間の包囲の末降伏した。またバイエルン各地で村自体が鏖殺されるような酷い戦いもあった。
この戦いの結果、城はヴュルテンベルク公のウルリヒに与えられ修復されたが、癒えた傷が休まる間もなく、
1525年ドイツ農民戦争により市を治めていた城主が虐殺され、城も略奪された挙句、火が掛けられ廃墟と化した。
年月や町の修復・新たな建築資材として石材が剥ぎ取られ荒廃の一途を辿ったが、1823年、医師で作家のユスティヌス・ケルナーが食い止めた。
彼は城の保護のためヴァイバートロイの故事から、女性たちを集めヴァインスベルク婦人協会を設立、城の所有者であったヴュルテンベルク王ヴィルヘルム1世から城跡が婦人協会へ下賜された。
これにより城の整備が行われ、安全に公開できるようになった。その後国家ナショナリズムの擡頭によりヴァイバートロイの故事が必要以上に持ち上げられ、
1939年、ナチス婦人会により「ドイツ女性のヴァルハラ」とすべく城の再建計画が挙がったが、第二次世界大戦の開始によりご破算となった。
現在もヴァインスベルク婦人協会が管理や整備を行っている。主塔・城壁の一部が現存しており、主塔には入る事も可能である。
ちなみにドイツ語ではWeins(ブドウの)/berg(丘)で「ブドウが採れる丘」という意味。

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|所在地|ドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州、シュトゥットガルト県、ハイルブロン郡、ヴァインスベルク|
|現存状態|廃城|
|城郭構造|モット・アンド・ベイリー様式|

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