セイバル遺跡はグアテマラの北部ジャングルの中にあるマヤ文明の痕跡のひとつで、ティカル遺跡とアグアテカ遺跡に挟まれた位置にある。 もともと「セイバル」という名称は「セイバの木が生える場所」という意味を持ち、さらに「セイバ」はパンヤの木を表す。パンヤの木は育てば高さ70メートルにまで達し、マヤ人にとってあの世とこの世をつなぐ世界樹そのものであった。 もっと正確にいえば天上界・地上・地下界を一直線に貫く中心軸のような存在で、世界の支柱として聳え立つ神聖な大木であった。 その神聖さはもとより、9世紀半ばのマヤ文明を代表する都市のひとつとして、2000年に渡るマヤ文明そのものの栄枯盛衰を研究するにはかなり重要と言える。
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南の広場には四方に階段が設けられた小さな神殿ピラミッドがあり、一部修復された。 もともと神殿の壁面には人物や動物のほか、マヤ文字の碑文などの漆喰彫刻が赤・黄・黒・青をはじめ色彩豊かに施されていた。 建築物のみならず道路や広場も漆喰で塗り固められていたという。現在では木々に覆われひっそりとたたずむばかりであるが、当時は別世界が広がっていたのだろう。 遺跡からは黒曜石製の石刃のほか50を超える石碑が発見されており、その当時の様子や催事が記録されていた。 849年の石碑には双頭の蛇の儀式棒をもつセイバル王の像と名前、さらにはセイバル、ティカル、カラクムル、モトゥル・デ・サン・ホセの四つの都市の王が儀式に立ち会ったことが描かれている。
グアテマラにとって国を代表する大都市遺跡であり、現在セイバル遺跡は現在国立遺跡公園に指定されている。 考古学者の青山和夫氏は同氏の著書『マヤ文明』の中で「セイバルは考古学者にとって一生に一度は調査をしてみたい「ドリーム・サイト」といえよう。」と豪語する。
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