スコットランドのアバディーンシャーを流れるディー川の上流域に広大な荘園を構える城館。イギリス王室の避暑のための離宮として知られる。 荘園の敷地はディー川沿いの風光明媚な土地に5万エーカー(約2万ヘクタール)に達し、その内外にいくつかの小御用邸が点在している。 荘園の中には標高1155mのロッホナガー山も含まれている。ちなみにこの山を題材にした童話をチャールズ現皇太子が執筆している。 19世紀にイギリス王室が館と荘園を買い取り、代々の国王と王室メンバーが滞在してきた。現在の城の大本になったのは1856年に完成した館である。 館と敷地は50人の常勤スタッフと100人前後のパートタイムスタッフによって維持されている。またスコットランド王立銀行発行の100ポンド札にはバルモラル城が印刷されている。
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14世紀にはスコットランド王ロバート2世の荘園と狩猟館があった。その後ドラモンド家に下賜され、以後19世紀まで複数の貴族の手を転々とした。 現在残る最古の部分は15世紀に当時の主ゴードン家によって築かれたタワーハウスの一部であるとされ、更に歴代所有者によって増改築された。
1848年、ヴィクトリア女王の夫、王配アルバート公がバルモラル城を夏の滞在のために借り受けた。夫妻は二人ともこの地を気に入り、1852年には3万ポンドで城とその周囲の荘園を丸ごと買い取った。 王家の正式な避暑宮として相応しくするため、当時の城館を大改装・増築したものが1856年に完成。これが現在のバルモラル城となる。 城と呼ばれるが、実際にはヴィクトリア朝期の典型的なカントリー・ハウス(貴族やジェントリーが田園地帯に保有した屋敷)である。 以後、王室が夏季休暇を過ごす避暑の地として現在に至るまで使われている。歴代の王や王族によって館や周囲の庭園に手が加えられてきた。 避暑地であるため王室が滞在する間*1は一般人は完全にシャットアウトされる。4月から7月の間のみ庭園と館の一部だけが一般公開されている。 前述のロッホナガー山などもこの時期の間だけ一般人の立ち入りが許可される。王室の私有財産であり、人件費を含む維持費はすべて王室の資産から賄われる。
現女王エリザベス2世はこの荘園内で自動車を運転するのが趣味で、滞在中は自分の運転で賓客に荘園の敷地内を案内するという。 『ザ・クイーン』や『ザ・クラウン』などの王室を描いた映画やドラマにもバルモラル城はたびたび取り上げられるが、当然城内での撮影は許可されておらず、たたずまいのよく似た別のスコットランドの城や館で撮影が行われることが多い。
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