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イヴァン3世はイタリアから技術者を招いてルネサンス様式での改修を進め、その多くがミラノ出身だったため、クレムリンの城壁や城塔は北イタリアの城に似た造りとなった。
改修されたクレムリンの城壁は総延長2.25キロメートルで最も厚い部分で6.5メートル、18棟の城塔は最高80メートルで、三角形平面の城域の周囲は水掘や川で囲まれていた。
これによってモスクワのクレムリンは東ヨーロッパでも屈指の城塞となり、以後も歴代の支配者によって改修が加えられていった。
イヴァン3世は聖堂の建築にも力を入れ、ウスペンスキー大聖堂やブラゴヴェシチェンスキー大聖堂、アルハンゲリスキー大聖堂が築かれ、現在のクレムリンとほぼ同じ外観となった。

17世紀になると城門にゴシック風の塔が加えられ、テレムノイ宮殿、娯楽宮、モスクワ総司教館が新築されたが、動乱時代を経て成立したロマノフ朝は当初弱体で、モスクワのクレムリンではしばしば権力闘争が展開された。
そこでロシアの改革を目指したピョートル1世大帝は保守的なモスクワを離れ、1712年にサンクト・ペテルブルクに遷都した。
モスクワからは宮廷が移されたのを皮切りに政府機関の移転も進められ、モスクワのクレムリンでは歴代の皇帝が引き続き戴冠式を行っていたものの、大きな増改築はされなかった。

1812年、モスクワはナポレオンに攻撃された際、焦土作戦によって大火に見舞われ、クレムリンは無事だったものの多くの建築物が焼失した。
その後すぐに復興され、ニコライ1世が即位した頃には産業の中心地として発展していた。
ニコライ1世はコンスタンチン・トーンに命じてクレムリン大宮殿や武器宮殿を築かせ、特にクレムリン大宮殿は当時ヨーロッパ最大級の宮殿としてロシア帝国の勢威を誇示し、現在に至るまでクレムリンの中枢として機能している。
ロシア革命によってロシア帝国が崩壊したのちの1918年にはソビエトによって再びモスクワが首都となり、クレムリンはソビエト連邦・ロシア連邦の中枢として機能し続けている。
1990年には「モスクワのクレムリンと赤の広場」として世界遺産に登録された。