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門司城が文献上で初めて顔を出すのは正平19/貞治3年（1364年）の下総親尚軍忠状で「昨年七月十九日真夜中に門司関城に取り上がり、山城要害を築城中であったが、同二十一日に菊池氏の代官鞍懸中務丞や宮方についた門司氏一族が攻め寄せた」との記述が残る。
戦国時代になると、大友義鎮（宗麟）と毛利元就が激しく奪い合うこととなる。永禄元年（1558年）6月、毛利方の小早川隆景は大友勢が守る門司城を攻め取って以降の約20年間、門司城は毛利氏の九州攻略の橋頭堡の役割を果たし、度重なる合戦が繰り広げられた。
永禄2年（1560年）9月末頃、大友勢（田原親宏、田原親孝）は城督の仁保右衛門太夫隆慰（規矩郡代にも任命されている）が守る門司城攻め落とし、波多野大和守興滋と波多野兵庫を討ち取る。大友方は奴留湯主水（ぬるゆもんど）を城番とするも、占拠は短期間であった。
翌年、毛利元就は隆慰を渡海させ門司城を奪回する。永禄4年（1562年）8月、大友義鎮（宗麟）は一門の重臣に、元就が出雲の尼子氏との戦いに手間取っている間に門司城を攻め取るよう命じた。吉弘嘉兵衛大友河内守両大将は約一万五千の兵を率いて同年8月下旬に小倉へ進軍する。
9月には簑島や大友方が守る花尾城で両軍が激突、臼杵鑑速は9月8日に安逹岳麓に陣取ったので門司城攻めも間もなくであろうと告げている。この戦いの最中、9月22日に毛利隆元は早友大明神（和布刈神社）に戦勝を祈願していた。
祈願の甲斐あってか、同年10月26日、八幡表（甲宗八幡神社付近）における両軍激突の末に11月5日夜には大友勢が大敗走を強いられる。このとき毛利水軍の追撃を避けるため、京都郡黒田原から仲津郡国分寺原を通り豊後へと帰還した。
その後は室町幕府を通して毛利方との講和斡旋を願い出て、これが叶うこととなる。毛利方は門司城と規矩郡のみの獲得と、不利な条件で締結となった。おそらくは尼子攻めが大きく作用していると考えられる。
なお、第四次門司城の戦いでは、立花宗茂の実父である高橋紹運が初陣を飾ったとされている。
細川忠興の時代になると門司城は沼田勘解由延元（細川忠興の従兄弟）が5千石拝領のうえ置かれ、岩石城や龍王城、香春城とともに小倉城を守る支城として改築が施されてゆく。しかしながらどういった改築が施されたのかについては詳しくは不明であった。
というのも現門司城跡の状態は非常に芳しくなく、通信施設や発電所、高射台などを築いたために門司城の遺構は丸瓦の出土を見るほか僅かである。城郭研究家中村修身氏曰く「松山城（苅田町）の現状を参考にすると忠興より改修された門司城は以前より小規模な造りであった。」とのこと。
本瓦葺き建物が建てられ、石垣を持つなど近世的特徴を有していたと考えられる。忠興の支城として改築された同城は1615年の一国一城令により破却され、古城山からその姿を消した。

現在、関門海峡に面するノーフォーク広場には錨のモニュメントが展示されており、関門橋を背景に船舶が行き交う光景も楽しむことができる。