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高天神城は落城後に廃城となり、新たに遠江南部支配の拠点となった横須賀城には大須賀氏がそのまま城主を務めた。
康高は跡継ぎができないまま死去し、徳川四天王の一人である榊原康政の子・忠政が養子として大須賀氏を継いだ。
天正18年（1590年）の豊臣秀吉による小田原城征伐後に家康が関東に移封されると、忠政もこれに従って久留里城へと移り、横須賀城には豊臣秀次の家老である渡瀬繁詮が入った。
秀次が秀吉によって切腹させられると繁詮も同じく切腹させられ、繁詮の家臣である有馬豊氏が繁詮の所領や家臣団を引き継いで新たに横須賀城主となった。
横須賀城はこれら豊臣系大名の時代に近世城郭へと改修されたが、その費用を捻出するために領民には重税が課されるなどの苛政がしかれていた。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後には再び大須賀忠政が横須賀城主となって横須賀藩が成立し、豊臣時代の悪政が改められた。
元和元年（1615年）に忠政の子・忠次は、本家の館林城主榊原康勝が跡継ぎなく死去したためその養子となって榊原氏を継ぎ、館林藩に移ったことで横須賀藩は一時廃藩となった。
元和5年（1619年）には関宿城主の能見松平重勝が横須賀城に入って横須賀藩が再興され、能見松平氏2代、井上氏2代、本多氏1代が城主を務めた後、天和2年（1682年）に小諸城主の西尾忠成が入ってからは西尾氏が8代城主を務め明治維新に至った。

横須賀城は遠州灘に面した平野部の独立丘陵上に築かれ、北側には松尾山がそびえる。築城当時は城の近くまで海がせまり、三方が入江と沼や深田に囲まれた天然の要害であり、また入江には横須賀湊がある物流拠点でもあった。
隠し堀と呼ばれる舟入状の堀跡は、入江に面し横須賀湊を押さえていた横須賀城の特色をよく示しており、「遠州横須賀城絵図」には城内に舟着場が描かれているが、宝永4年（1707年）の宝永地震で地形が激変し、土地が隆起し湊が使えなくなるなどの被害を受けた。
通常の城では1基しかない大手門が横須賀城では東西にそれぞれ1基ずつ設けられており、このことから横須賀城は別名「両頭城」とも呼ばれる。
西大手門は二の丸へ、東大手門は三の丸へと続いており、そのほぼ中間に本丸が置かれた。本丸の西側には隣接して西の丸があり、本丸の天守台の背後となる北側には北の丸があった。また本丸南側の麓部分には三日月堀跡があり、初期にあった内堀の名残だと考えられている。
北の丸の東側には三の丸があるが、この部分は城内でも最も標高が高く、山頂から山腹へかけて曲輪が連なる中世山城に近い曲輪の配置となっている。一方で二の丸方面は平面的な曲輪構成であり、近世平城の特徴が見られる。
それぞれの曲輪の石垣は天竜川の河原から運ばれた丸い川石を利用して築かれた「玉石積み」と呼ばれる石垣であり、横須賀城の見どころの一つとなっている。小さな丸石だけで石垣を高く積み上げるには高度な築城技術が必要だが、横須賀城の本丸南東部の高石垣や櫓門跡の石垣は一部に復元された箇所があるものの、ほとんどが現存遺構となっている。