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守護代上田政盛の調略と宗瑞の相模侵攻は長尾為景を支援する後方撹乱かつ三浦氏を三浦半島に封じ込めて上杉氏から切り離す作戦だった。
またこの戦いで国人衆間宮氏（信冬又は信盛）が名を挙げ、伊勢（北条）家に取り立てられたという。間宮氏はのちに笹下城主となる。

その後上杉家は北条の攻勢の前に後退し、神奈川湊の守備には天文年間（1532～55年）に北条家臣多目元興が配されて青木城を築いた。
青木城の築城に当たっては権現山城の郭を再利用した。改名したのは宗瑞（早雲）が破れた権現山の名を避けたとも考えられる。
現在城跡とされる二つの場所の違いから、青木城の築城は権現山城を内陸部に拡張するような形で行われたと考えるのが自然と思われる。
現在も城跡にある本覚寺の寺伝によれば権現山合戦で衰微し天文元年（1532年）に再興されたとあり、この時期に青木城が築かれたのだろう。
城主となった多目（多米）氏は三河の多米地域の土豪で今川氏の傘下だった。その関係から一時今川に属していた伊勢宗瑞に従ったと思われる。
永禄12年（1569年）、武田信玄が武蔵・相模に侵攻して小田原城に迫る。この時多目周防守（元忠？）は青木城を出て蒔田城?を守備した。

その後も多目氏の居城であったが小田原攻めののち廃城となり、現在まで続く青木山本覚寺の寺域となった。
江戸時代には神奈川の湊を見下ろす東海道の景勝地として栄えていて、『東海道中膝栗毛』にも門前付近が登場する。
しかし幕末期に神奈川台場の建設・埋め立て資材として丘陵は東側を中心に大きく削られて低くなった。また本覚寺はアメリカ領事館として使われた。
明治に入ると鉄道敷設のために大きく切通しが貫かれ、丘陵は現在のように二つに分かれた。一帯は寺社及び緑地が多いが、このように大きく地形が改変されてしまったため城の遺構はほとんど見られない。